はじめに
弁理士法人シアラシア 代表の嵐田です。
前回の記事では、弁理士法人の設立手続きのうち、最も重要な定款認証と登記申請について書きました。今回は登記申請が完了した後の手続きについて書いていきます。
登記が完了したら
登記簿謄本の入手
2022年4月4日(月)に法務局で登記申請を行い、2022年4月12日(火)に登記手続きが完了しました。私は申請用総合ソフトで申請していたため、登記手続きが完了するとメールが届きました。14時頃だったと思います。登記が完了したらまず初めに行うべきことは登記簿謄本(=履歴事項全部証明書)の入手です。弁理士会、市役所、税務署等の各手続きにおいて、登記簿謄本の原本もしくは写しを添付して行うことが多いためです。登記簿謄本は登記供託オンライン申請システムのかんたん証明書請求で請求することができます。かんたん証明書請求にログインし、法人名称等で検索して自身で設立した法人を選択します。登記事項証明書交付請求書のページで必要部数を入力し、住所や郵便方法を入力すれば請求ができます。私は一度で請求できるMAXの10通を普通郵便の速達で請求しました。12日に登記が完了してすぐ請求をしたので、翌日13日の昼頃には手元に届いていました。
登記簿謄本のコピーをとる
届いた登記簿謄本の1部をコピー用の原本としてホッチキスを外しておきます。各種申請をオンラインで行う場合は、登記簿謄本のPDFスキャンをとっておきます。
法人番号の入手
設立した法人には法人番号が付与されます。法人番号は書面で事業所所在地宛に郵送されますが、登記手続き完了日の翌日午後に国税庁法人番号公表サイト(外部リンク)で公表されます。国税庁のサイト検索で表示した法人番号を示すページをPDF化しておくことで、その後の手続きに使えます。
印鑑証明書の入手
印鑑カードを持っている場合は、印鑑証明書をオンラインで請求できます。印鑑証明書は登記供託オンライン申請システムのかんたん証明書請求では請求できないので、申請用総合ソフトを使う必要があります。印鑑証明書請求の申請書には印鑑カード番号を必須で記入する欄があり、私は事前に印鑑カードを作っていなかったのでここでつまづきました。法務局宛に郵送で印鑑カード交付申請書を返信用封筒とともに送付し、後日請求しました。印鑑証明書は市役所や税務署への手続きには不要ですが、銀行の口座開設等の手続きで必要になってきます。
弁理士会への手続き
登記簿謄本を入手したら、弁理士会への設立の届出をしましょう。弁理士会の会員専用ページに「弁理士法人設立等のための参考資料集」が2022年3月30日付で更新されており、「05_弁理士法人設立の手続きについて.pdf」というファイルに簡潔にまとめられています。
(1)日本弁理士会への届出
(2)経済産業大臣への届出
の2つの手続きをいずれも日本弁理士会に対して行う必要があります。「登記の日から2週間以内」と期限が限られているので早めに行った方が良いです。私は登記簿謄本が届いたその日のうちに弁理士会宛に必要書類を送付しました。
法人設立ワンストップサービスを利用した各種手続き
マイナンバーカードを持っている場合は、法人設立ワンストップサービスを利用することで各種手続きを一括で行うことができます。まずは「かんたん問診・申請」で質問に回答することで、自身に必要な手続きがわかります。ただ、かんたん問診といいながら質問事項は素人には正直難しかったです。それでもなんとか回答し、必要な手続きを選択して申請しました。申請にはマイナンバーカードとICカードリーダーが必要です。申請は26ページもあり、回答に時間がかかるので一度に記入できない場合は申請情報を適宜保存した方が良いです。申請情報をダウンロードしておけば、後で続きから記入ができます。また、添付書類として登記謄本のPDF、法人番号のPDFが必要になるため、上記の「2. 登記が完了したら」で作成したPDFをアップロードできるように準備しておきましょう。
ちなみに私がワンストップサービスで行った手続きは以下の8つでした。申請すると、数分で手続きが完了するものから、1週間経っても完了しないものまで様々です。本記事執筆時点で「健康保険・厚生年金保険 新規適用届」のみ完了していないので、後で社会保険事務所に電話して確認しようと思っています。
- 法人設立・設置届(都道府県)
- 法人設立・設置届(市町村)
- 法人設立届出(税務署)
- 青色申告の承認申請
- 電子申告・納税等開始(変更等)届出(税理士代理提出・法人開始用)
- 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請
- 給与支払事務所等の開設等届出
- 健康保険・厚生年金保険 新規適用届
社会保険手続きについて追記
年金事務所に提出する書類は「健康保険・厚生年金保険 新規適用届」のみではなく、以下の書面を「紙」で提出する必要があります。
- 被保険者資格取得届(代表者を被保険者とする届け出)
- 被扶養者(異動)届(代表者の家族を被扶養者とする届け出)
上記手続きが遅れると、健康保険証がない期間が発生してしまいます。
保険証なしで病院に行った場合、窓口で10割負担になりますが後で申告すれば返金されます。とはいえ、返金の手続きは面倒なので健康保険の空白期間がないように社会保険手続きは年金事務所の窓口で行った方がよいかも知れません。
おわりに
私はオンラインでできる手続きはオンラインでやりたい派なので、上記のようなやり方を選択しました。そのため、書面での手続きを行いたい方やオンライン手続きに不慣れな方にはあまり参考にならないかも知れません。上記の手続きの他に、弁理士であればオンライン出願ソフトで特許出願等を行える準備も整えるべきで、電子証明書の入手と識別番号付与請求も必要です。私自身、まだこれらの手続きが完了していないので、完了次第別の記事にまとめたいと思います。