弁理士の日記念ブログ企画2026
代表弁理士の嵐田です。7月1日は「弁理士の日」です。
明治32(1899)年7月1日、弁理士法の前身である「特許代理業者登録規則」が施行されました。日本弁理士会は、その施行日である7月1日を「弁理士の日」に制定しました。
その「弁理士の日」を盛り上げるため、「独学の弁理士講座」を運営する内田浩輔弁理士が、毎年テーマを決めて「弁理士の日記念ブログ企画」を開催しています。その趣旨に賛同し、私も「弁理士の日記念ブログ企画2026」に参加しました。今年のテーマは「知財業界と専門分野」です。
知財業務にはどのような仕事があるのか
知財業務は、大きく分けると弁理士の専権業務と、弁理士以外でも行うことができる業務(非専権業務)の2つに分類できます。
弁理士の専権業務とは、特許・実用新案・意匠・商標などについて、出願手続や特許庁への各種手続きを代理する業務です。これらは法律により弁理士だけが行うことができる専門業務であり、「知財」と聞いて多くの方が最初に思い浮かべる仕事でもあります。
しかし、知財業界全体を見渡すと、弁理士の専権業務はその一部に過ぎません。
例えば、新しい技術について先行技術を調査したり、競合他社の特許を分析したりする「調査・分析」、海外出願に必要な特許明細書などを翻訳する「知財翻訳」、企業の知財戦略や特許活用を支援する「コンサルティング」、NDA(秘密保持契約)や共同研究契約などをサポートする「知財契約」など、資格の有無にかかわらず活躍できる業務が数多く存在します。
さらに近年では、AIやデータ分析を活用した特許解析、知財DX(デジタルトランスフォーメーション)、IPランドスケープ(特許情報を経営戦略に活用する分析手法)など、新しい分野も急速に広がっています。
このように知財業務は、「権利を取得する仕事」だけではなく、「技術を調べる」「知財を活用する」「企業の経営を支援する」といった幅広い役割を担っています。そのため、弁理士だけでなく、調査員、翻訳者、コンサルタント、データアナリスト、システムエンジニアなど、多様な専門家がそれぞれの強みを生かして知財業界を支えています。
下のマップは、このような知財業界全体を俯瞰したイメージです。中央に「知財業務」を置き、左側に弁理士の専権業務、右側に弁理士以外でも携わることのできる業務を配置しています。知財業界には、想像以上に多様な仕事があり、それぞれが連携することで企業の技術やブランド、研究開発を支えていることがお分かりいただけると思います。

私の専門分野
知財業務全体の中で、私が取り扱っている業務は、弁理士の専権業務である「特許・実用新案」と「商標」、非専権業務である「調査・分析」「コンサルティング・戦略支援」「知財契約・ライセンス支援」「発明創出・教育・支援」です。
一方で、意匠出願はほとんど取り扱っておらず、特許翻訳や知財管理・事務オペレーションなどはあまり行っていません。また、紛争・訴訟支援については実務経験はありませんが、特定侵害訴訟代理業務付記登録を受けているため、必要に応じて対応することが可能です。

バイオ・ライフサイエンス分野の特許を中心に対応
特許分野では、ライフサイエンス・バイオ分野を専門としており、特に以下の技術分野を多く取り扱っています。
- 抗体医薬、核酸医薬などのバイオ医薬
- 農薬、遺伝子組換え植物
- 微生物、培養工学
- 機能性食品、化粧品
これらの分野では、技術内容を正確に理解することはもちろん、研究開発の背景や実験データの意味を踏まえた特許戦略を提案することを心掛けています。
調査・分析から知財戦略まで一気通貫で支援
知財業務は「特許出願」だけではありません。
私が特に多く担当しているのは、
- 先行技術調査
- 侵害予防調査(FTO調査)
- SDI(競合他社の特許を継続的に監視する調査)
といった調査・分析業務です。
調査結果を単に報告するだけでなく、「出願すべきか」「ノウハウとして秘匿すべきか」「競合との差別化をどのように図るか」といった知財戦略まで含めてご提案しています。
また、企業間の共同研究や技術連携が増えていることから、
- NDA(秘密保持契約)
- 共同研究契約
- 共同出願契約
- ライセンス契約
などの知財契約についても、技術や事業内容を理解した上で支援を行っています。
主なお客様はスタートアップ・ベンチャーと中小企業
私が最も多く支援しているのは、創業から1~5年程度のスタートアップ・ベンチャー企業と中小企業です。
スタートアップの場合、特許出願件数が0~3件程度という企業が多く、その中でも特に「初めて特許出願をしたい」というご相談を数多くいただきます。 1件目の特許出願は、その会社にとって将来の事業の柱となるコア技術を対象とすることが多く、その後の資金調達、共同研究、ライセンス、企業価値にも大きな影響を与える重要な出願になります。
そのため、単に明細書を作成するだけではなく、
- どの技術を出願すべきか
- どのようなデータがあれば権利化しやすくなるか
- どのような実験を追加すべきか
- 出願のタイミングをどう考えるか
といった点についても、研究者や経営者の皆様と一緒に議論しながら進めています。
また、大学発スタートアップでは、大学が関連特許を保有しているケースが少なくありません。このような場合には、
- 大学から特許権の譲渡を受けるのか
- ライセンスを受けるのか
- 将来の共同研究をどのように設計するのか
といった点も事業成功の重要な要素となるため、大学との交渉や契約面についても支援しています。
スタートアップ支援で私が大切にしていること
スタートアップ支援では、特に重要だと考えていることが二つあります。
一つ目は、レスポンスの速さです。
スタートアップでは、資金調達や共同研究、展示会、投資家との面談など、短期間で意思決定を迫られる場面が数多くあります。そのため、「後日回答します」では間に合わないことも少なくありません。私は、できる限り迅速に回答し、お客様のスピード感に合わせて支援することを心掛けています。
二つ目は、現場対応力です。
スタートアップから寄せられる相談は、特許だけに限りません。技術的な質問、知財戦略、共同研究、契約、資金調達への影響、大学との関係など、技術・経営・法律が複雑に絡み合った相談を受けることが日常的です。
私は、その場で状況を整理し、まず何を優先すべきか、どのような選択肢があるのかを即座に提示できるよう努めています。もちろん、慎重な検討が必要な事項もありますが、相談を受けたその場で方向性を示し、次の一歩を明確にすることが、スタートアップ支援において最も重要な価値の一つだと考えています。
特許出願だけではなく、調査・戦略・契約・発明支援まで一気通貫で伴走し、技術を事業へとつなげる知財パートナーとして支援することが、私の専門分野であり強みです。

