弁理士法人シアラシア 代表の嵐田です。
当法人設立直後は法人ロゴを作っておらず、文字のみの「弁理士法人シアラシア」を自社ロゴとして使用していました。寂しいなとは思っていましたが自分でロゴを考えられるような経験も能力も時間もなく、いずれロゴ作成が得意な方に外注しようかと漠然と考えておりました。
そんな中、Midjourey、Stable DiffusionといったAIによる画像生成サービスが2022年8月以降に立て続けにリリースされました。最初は興味半分で使っていましたが、商標ロゴの作成にも使えるかもしれないと思い始めました。
画像描画AI、Stable Diffusion
Stable Diffusionとは
Stable Diffusionとは、2022年8月に無償公開された描画AIです。プロンプトと呼ばれる文字(呪文とも呼ばれる)を入力することで、その文字のイメージに沿った画像が自動生成される仕組みです。Midjourneyという描画AIもありますが、こちらは無料では25個程度までしか画像生成できず、それ以上は有料プランでした。Stable DiffusionはNVIDIAのGPUがあればローカルPC環境でも無料でAI描画が使えます。また、開発元のStability Ai社によると「商用・非商用問わず利用可」とされています。
Stable Diffusion Public Release
In cooperation with the tireless legal, ethics and technology teams at HuggingFace and amazing engineers at CoreWeave , we have incorporated the following elements:
The model is being released under a Creative ML OpenRAIL-M license [https://huggingface.co/spaces/CompVis/stable-diffusion-license]. This is a permissive license that allows for commercial and non-commercial usage. This license is focused on ethical and legal use of the model as your responsibility and must accompany any distribution of the model. It must also be made available to end users of the model in any service on it.
Stable Diffusionによる画像生成の例
どのような文字を入れるとどのような画像が生成されるのか、実例で見るとイメージし易いです。私はNMKD Stable Diffusion GUIというソフトをダウンロードして使用しています。ここではインストールの方法は必要なPCスペック等は省略します。
NMKD Stable Diffusion GUI – AI Image Generator
https://nmkd.itch.io/t2i-gu
NMKD Stable Diffusion GUIを立ち上げると以下の画面になります。「Prompt」という欄が画像を生成するための文字を入力する箇所です。下の画像では小さくて見にくいですが、ここでは試しに「banana」と入れました。Amount of Images To Generateは1度に生成する画像の数です。デフォルトは3なので、3のままにしてあります。その他の設定の説明は省略します。
「banana」というプロンプトで生成した画像は以下の3枚です。概ねイメージ通りの画像が得られました。プロンプトを工夫することで、浮世絵風、アニメ風、油絵風等にすることも可能です。
AIを用いた商標用ロゴ案の作成
プロンプトの検討と実行
まずはAIに作らせるロゴの方向性を決めます。「シアラシア」は”嵐”に由来する造語ですが、「台風のような力強いイメージ」として「storm, tempest, typhoon」等のワードを使いました。ロゴはそのまま「logo」でOKのようです。3~5個ぐらいずつ、様子を見ながら画像生成し、以下の計63個のロゴ案を生成しました。「台風のような力強いイメージ」が出ているロゴがいくつか生成できています。
ロゴの絞り込み
63個のロゴ案の中から、以下の3案に候補を絞りました。
左は渦巻のデザインが気に入りましたが背景の色は白にしたいところです。中央もカッコいいと思いましたが、中心が「H」の文字のように見えること、白黒でシンプル過ぎることが気になりました。右はシンプルであり、荒波っぽさもあり、良いかなと思いました。
ロゴ案の決定と修正
家族とも相談し、最終的に以下のロゴに決めました。ただし、色合いと背景が気に入りません。
特別な画像編集ソフトも持っていないので、パワーポイントの「背景の削除」という機能を使い、背景として削除する箇所、残す箇所を指定して切り抜きます。
次に「色」という箇所を選択して青っぽい色調を指定します。
このようにして完成したのが以下のロゴです。本来であれば、Adobe Illustratorでロゴをなぞったり、Photoshopで綺麗に背景を削除するとより良いロゴになると思います。もしくはロゴ案の段階でプロに外部委託しても良いでしょう。
商標登録出願
上記のロゴは当法人のハウスマーク商標として作成したものです。そのため、併せて商標登録出願をしておく必要があります。私はロゴを作った直後に以下のロゴのみの出願を行いました。
たまに商標登録出願をする前に「ロゴ案を作りました」と公表する方をネット上で見かけることがありますが、誰かがその報告を見て画像をダウンロードし、先に商標登録出願してしまうリスクがありますので公表したい場合は先に商標登録出願を行ってからにしましょう。
おわりに
様々な業務が将来AIに置き換えられてしまうというニュースを見ることがあり、弁理士業も例外ではないと思います。しかし、業務をAIに置き換えられてしまうことを恐れるのではなく、積極的に活用してみることで業務の幅が広がったり、質が向上することもあるのではないでしょうか。
AIを使ったロゴ案の作成を当法人のサービスに含めるようなことは今のところ行っておりませんが、要望があれば検討したいと思いますのでお気軽にお問い合わせください。