弁理士法人シアラシア 代表弁理士の嵐田です。
商標を出願しようと思ったとき、思いついたブランド名・商品名が既に商標登録されていないか調べたいとき、特許庁が運営する特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)を使って検索するのが基本です。しかし、J-PlatPatは検索の条件設定等が複雑で初めて使う人には敷居が高く、とっつきにくい印象があるかも知れません。
そこで本記事では、商標を初めて調べてみようとした方でも直感で簡単に使える商標情報サービスをご紹介します。
「ブランドテラス」とは
「ブランドテラス」とは、パテント・インテグレーション株式会社(代表取締役:大瀬佳之)が運営するサービスです。
トップページからは「エリアごとの商標 商標出願・登録商標」、「商標区分ごとの商標 商標出願・登録商標」等を確認することができます。
例えばエリアで「北海道」のリンクをクリックしてみます。
すると、商標出願の多い市町村や出願人が表示されます。
雪印メグミルク株式会社、雪印乳業株式会社、株式会社ロイズコンフェクトが北海道で商標を多く出願・権利化している企業となり、なんとなくイメージの通りだということがわかりました。
「称呼」、「文字商標」一覧で識別力の低いネーミングを回避する
次にサイトトップにある「商標権者」、「称呼」、「文字商標」、「弁理士・特許事務所」のタブから「称呼」、「文字商標」の2つに着目してみます。
商標として使われる「称呼(読み方)」と「文字商標」が件数順に表示されます。例えば称呼ランキングを見ると、「〇〇プラス」、「〇〇ラボ」のような商標が全区分で多く出願されていることがわかります。「テディベア」が称呼も文字商標も上位に入り込んでいるのは謎ですが。
先行商標が多くあるということは、それだけ他人の商標と被りやすいということになるので、このランキングに上位表示されるワードを避けることで商標の登録可能性は高まります。逆にランキング上位のワードはそれだけ馴染みのある用語でもあるので、敢えて積極的に使っていくのもアリといえるでしょう。
「弁理士」で自分の名前を検索してみる
「弁理士・特許事務所」のタブをクリックすると、商標出願を代理した特許事務所や弁理士の氏名がランキングで表示されます。1,000件以上も出している方が上位にいますが、おそらく商標を専門にしている弁理士の方だと思います。商標を出願する際に、これから依頼しようとする弁理士が過去に何件、どのような商標を出願したかを簡単に確認することができます。私も前職で何件か商標を出願したことがあるので、検索で「嵐田」と入れて直接調べてみました。
検索の結果は以下のようになりました。
「嵐田 亮」と「嵐田亮」で氏と名の間にスペースがあるかないかで2件に分かれてしまっています。私が出願書類でスペースを入れたり入れなかったりしたということかも知れません。私の出願件数は直近3年間で92件でした。
私が出願代理した商標は、例えば以下のような例があります。
この商標権は、以下のニュースリリースを通じて使用されています。
日本をバイオ燃料先進国に 『GREEN OIL JAPAN』宣言
以下の商標権もバイオ燃料用のオイルの商標として使用されています。
サービスステーション(ガソリンスタンド)で次世代バイオディーゼル燃料の一般向け継続販売を開始(中川物産株式会社、株式会社ユーグレナ)
おわりに
以上ご紹介したように「ブランドテラス」は、先行商標の有無を調べる際に便利ですが、同業他社の商標件数も簡単に調べることができるので業界水準を把握する、新しく商標出願を依頼しようとする特許事務所・弁理士が過去にどのような商標を出願したことがあるのかを調べてみる、といった使い方もできます。
特に目的がなくクリックしたり検索したりするだけで新しい発見があったりするので実際にアクセスして触ってみることをお勧めします。