商標の3つの分類
法律上の分類ではないですが、商標は大きく3つに分けられます。
ハウスマーク商標(会社名)
1つはハウスマーク商標。ハウス(家)のマーク(しるし)なので要するに会社名・屋号の商標のことです。事業を行う上で、会社名の商標を他人に取得されてしまうと権利侵害を訴えられたり、社名の変更をしなければならなくなる等の不利益が生じるおそれがあるため、ハウスマーク商標の取得は全ての事業者に必須であるといえます。
例)
上記以外にも「LION」第545999号等多数あります。
ファミリーネーム商標(ブランド名)
ファミリーネーム商標とは、あまり馴染みのない言葉ですがブランド名の商標のことです。例えばライオン株式会社の「キレイキレイ」というハンドソープがありますが、「キレイキレイ」にはハンドソープの他にもうがい薬、ウェットシート、手指消毒剤等の複数の商品が含まれます。
例)
「キレイキレイ」登録4294667(5類)、登録4397139(3類)等多数
ペットネーム商標(商品名)
ペットネーム商標とは、各ファミリーネームに所属する個別商品の商標のことです。例えば上記の例でハンドソープ、うがい薬、ウェットシートの商品名をそれぞれ個別に取得した場合はペットネーム商標となります。
例)
「キレイキレイ泡ハンドソープ」の商品サイトは以下URLの通りです。
登録商標とは少し異なるデザインで使用されているようです。
https://kireikirei.lion.co.jp/lineup/awahandsoap/
ちなみに上記の第4866853号の商標中に「ハンドソープ」という文字が含まれているので、指定商品はハンドソープのみとなっています。「シャンプー」にこの商標を使用すると、流通取引者、消費者が誤解してしまうおそれがあるためです。
中小・スタートアップ企業が気を付けるポイント
商標の3分類を説明しましたが、ペットマーク商標までおさえるのは資金力のある大企業の戦略であり、中小・スタートアップ企業にとっては費用対効果を考慮して最小限の商標を取得するのが良いでしょう。
ハウスマーク商標を取得する
事業を行う上で必須です。
指定商品・指定役務は2~3年以内に実施する事業で出願しておき、将来経営を多角化する際は追加で出願しても良いと思います。ある程度資金に余裕があるのであれば、最初から少し広めに出しておいても良いでしょう。
ファミリーネーム商標を取得する
既に事業の柱となる商品・サービスのブランド名が確定している場合はファミリーネーム商標も取得しておきましょう。
創業したばかりのうちは商標上の問題がおこる可能性は少ないですが、メディアに取り上げられる等によって知名度が向上した際に商標権をとっていないことがわかると他者に先に出願されてしまうリスクが上がります。
創業して数年経ち、ある程度の売上があるのに商標が1件もないと知財意識の低い会社とみなされてしまい、資金調達の上でマイナスになる可能性もあります。
商標の出願戦略は上記のように大手企業の事例が参考になります。同じ業種の大手企業名を「出願人/権利者」で検索してみると良いでしょう。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/t0100
商標検索は「〇〇株式会社」又は「〇〇?」まで入力しないと検索結果が0件になってしまいますのでご注意ください。